映画「ブタがいた教室」は、妻夫木聡主演、前田哲監督の2008年の映画です。
この映画「ブタがいた教室」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
賛否両論を巻き起こした小学校の授業を再現した実話「ブタがいた教室」をご堪能ください。
「ブタがいた教室」あらすじ
それは4月、新学期がはじまった頃のことです。
大型マンションが建ち並ぶ、都会の真ん中にある小学校。
6年2組の担任・星先生(妻夫木聡)は、教室に一匹の子豚を連れて来ました。
「うわ~、かわいい~!」
ピンク色のまだ小さな子豚に、26人の生徒たちは興奮気味。
「そのブタ、どうするの?」
生徒の質問に、子豚を撫でながら先生はこう答えます。
「この豚を、みんなで育てて最後には食べようと思っています!」
「え~っ!食べるんですかぁ~」
はしゃぐ生徒たちに、先生はこんな質問をします。
「みんなは、人間は生きるためには何が必要だと思う?」
空気や水、そして「食べ物!」と答えが返って来ました。
「そう、食べ物!人間は生きるためには、食べなくてはいけません」と生徒を見渡します。
“生き物を食べる、命をいただいている” という事を身体で感じて欲しい。
「どう思いますか?」と、やわらかい笑顔を見せる星先生。
彼のことを「星べぇ」と慕う生徒たちは、子豚に興味津々。
無邪気に「賛成!飼いたい!」と先生の提案に頷きます。
賛否両論を巻き起こした授業の始まりです・・・
「ブタがいた教室」ネタバレ
“生きた授業” を経験させたいと言う、星先生を尊重する校長(原田美枝子)。
もちろん「この食育は、想像以上に大変な事…」と、相当の覚悟を決めます。
情熱だけで無謀な事に挑戦しようとする、まだ若い星先生の事を案ずる教頭(大杉漣)。
同僚の先生たちも、突飛な授業に呆れていました。
子豚を飼育する事が決まり、休日に校庭に集まった6年2組の生徒たち。
木材を切り釘と金槌を使って組み立て、カラフルなペンキを塗って豚小屋を完成させます。
生徒たちが子豚に名前を付けたいと言い出し、困ってしまう星先生。
結局、その勢いに押され子豚には【Pちゃん】と名前が付きました。
「Pちゃん!Pちゃん!」と呼び、生徒たちは嬉しそうに笑っています。
その様子を見ていた教頭は、星先生に尋ねます。
「豚を育てて食べるんですよね?名前なんか付けていいんですか…?」
はじめて豚の飼育をする生徒たちは、みんな嫌がる事なく楽しそうにしていました。
今は、まだ小さな子豚のPちゃん。
“命の授業” の難しさを実感するまで、もう少し掛かりそうです。
6年2組で決めたPちゃんのご飯は、給食や家庭で出た残飯。
ところが、店で購入した食べ物を持ってきたり、家で夕飯を残してPちゃんにあげたり。
少しずつカラダが大きくなるPちゃんの世話に、保護者からも苦情が入ります。
Pちゃんと過ごしクラスに一体感も生まれますが、楽しい事だけでは無くなっていました。
そんなある日、一人の生徒が星先生に聞きます「やっぱり、Pちゃん食べちゃうの…?」
先生は、何も返事が出来ませんでした。
夏休みには生徒たちと校庭で花火を楽しんだPちゃん、ある日風邪を引いてしまいます。
「豚にとっては危険な病気…油断するとスグに死んじゃうから…」
獣医は横たわるPちゃんに注射を打ち、心配する生徒たちは辛そうです。
Pちゃんにブラッシングをしていると、話し掛けたのは小鷲先生(池田成志)。
「美味そうに育ってきたな…!」その言葉に、生徒たちは顔をしかめるのでした。
9月になり、カラダも倍以上に大きくなったPちゃん。
この頃から、家庭や給食で豚肉を食べたくないと言う生徒が出てきます。
6年2組の生徒たちが、小学校を卒業するまであと149日。
黒板には[Pちゃんを食べる・食べない]
星先生は、みんなの気持ちを知りたいと今、生徒たちが思っている事を聞きます。
生徒たちの大半は「食べたくない!一緒に過ごしてきた仲間だから…」と言う答えでした。
4月、星先生がPちゃんを連れて来た時の約束は「…最後には食べようと思っています!」
それを分かっていて、飼い始めたのだから「食べてあげる」と言う生徒もいました。
生徒たちの感情を大きく動かす、Pちゃんと過ごした6か月。
「食べる」と「食べない」に割れた意見に、他の選択肢は無いのか?と質問が出ます。
そこで、星先生は「食べない」と言う生徒たちに、今後のPちゃんをどうしたいか聞いてみました。
「このまま、学校で飼うのが良い」
すると「最後まで責任を持つと決めた…途中で他人に任せるのは違う…」と反論が出ます。
真剣に話をする生徒たちは、Pちゃんの命を考えているようでした。
「食べる事は、殺す事と一緒だよ…分かって言ってんの!」
男子生徒のその言葉に、取っ組み合いのケンカがはじまり星先生は止めます。
家に帰っても、悩み続ける生徒たち。
みんなが、Pちゃんの事を思い考えていました。
その夜、外は嵐となり星先生、そして生徒たちが校庭にあるPちゃんの小屋に集まります。
“卒業までに、Pちゃんをどうするか?”
答えは出ないまま、クリスマスを過ぎ新年を迎えました。
冬休み、Pちゃんの様子を見に来ていた校長に、星先生は胸の内を明かします。
「僕は、子供たちに残酷な事をさせてしまっているのかもしれません…」
「生き物と真剣に向き合う事は、残酷ですか?」と星先生に尋ねる校長。
静かな時間は、元気な生徒たちがPちゃんに会いに来て賑やかになります。
「…豚の飼育を引き継いでくれる、先生はいませんか?」
2月になり、時間が無くなって来た星先生は、おもいきって他の先生に掛け合いますが反応は冷ややかでした。
すると、校内放送で6年2組の生徒たちが「Pちゃんを引き継いで欲しい」と下級生に呼び掛けます。
彼らが出した答えは “引き継いでくれるクラスを募集する” でした。
何も知らない星先生は生徒たちの行動力に驚きますが、コレにより引き継ぎたいと言うクラスがあらわれます。
池沢先生(田畑智子)と一緒に来たのは、まだ身体が小さい3年生。
大きなPちゃんに振り回され、残念ですがとても世話が出来るとは思えません。
「はじめは出来ないけど、教えればいい!」
引き継ぎたい生徒は、自分たちも最初はそうだった!3年生にも出来ると主張します。
「下級生に引き継いでも、卒業する時に今の私たちみたいに悩んじゃう…」と心配する意見が出ました。
「同じように悩めば良い!」と言う反論に、それは逃げているだけと教室は騒然とします。
[3年生に引き継ぐ]それとも[食肉センターに送る]
卒業まで、あと7日しかありません。
「自分たちで食肉センターに送って、食べてあげる事が責任」
「寿命まで、面倒を見てあげるのが責任」
生徒全員が持っている “Pちゃんが好き!” という気持ち。
いま、自分たちがしてあげられる事は?Pちゃんを思いながら生徒たちはぶつかり合います。
「殺すのと食べるのは違う!」
料理屋を営む父親に “命をいただく” 事について教えてもらった彼は言います。
「殺すのは、ただ命を奪う事で、食べるのはその動物の命を受け継ぐ事なんだ!」
ある女子生徒は「自分たちで飼い始めたんだから、自分たちでおわりに…」と泣き出してしまいます。
「先生…命の長さって誰が決めるんですか?」
Pちゃんと過ごした1年間、大粒の涙が生徒たちの頬を流れていきます。
翌日、Pちゃんが小屋を抜け出してしまい、必死に捜す6年2組の生徒たち。
幼稚園に入り込んだPちゃんを、大人が網で取り押さえ鳴き声が響きました。
「やめてください!連れて行かないで!僕らが育てたブタなんです!」
がむしゃらに大人に向かって行き、守り切ったPちゃんと共に学校へ戻ります。
校長と教頭は、今後Pちゃんをどうするのか星先生に問いました。
返って来た答えは、真剣に考えている生徒たちに、判断を委ねると言うもので教頭は困惑。
校長は「生徒たちが出した結論、最後は星先生が責任を負うべき」と伝えます。
6年2組の生徒たちは、命と向き合い他では出来ない得難い授業をしている。
最後まで生徒に寄り添いやり遂げるよう、校長は星先生の背中を押します。
卒業まで、あと3日。
結論を出すために、投票を行う事にした生徒たち。
3年生に引き継ぐか、食肉センターに送るか・・・結果は13対13。
「6年2組の問題…星べぇの一票が入ってないと思うんですけど」
「ブタがいた教室」最後ラストの結末は?
夜の教室で思いを巡らせる星先生のもとに、3年1組の担任・池沢先生がやって来ました。
Pちゃんを引き継ぐため『授業計画』を作り、意欲を見せる彼女。
翌日、星先生は校庭に生徒たちを集め、Pちゃんの前で結論を伝えます。
「…Pちゃんを、食肉センターに連れて行く事に決めました」
6年2組の最後の一票、星先生の言葉に生徒たちのすすり泣く声がします。
先生は彼らの顔を見て、Pちゃんを連れて来た4月の事を話し始めました。
そして、投げ出さずに豚の飼育をした生徒たちを褒め、真剣に向き合った事に感謝します。
自分たちの言葉で、3年生に引き継げない事を伝え「ごめんね」と涙を堪える6年2組の生徒たち。
Pちゃんと一緒にサッカーをして別れを惜しみ、卒業式を迎えます。
成長した彼らの姿を星先生は優しく、そして切ない目で見つめるのでした。
Pちゃんを連れて行く、食肉センターのトラックが学校に来ます。
そして、大きなPちゃんを大人3人掛かりでトラックの荷台へと運び入れました。
大きな鳴き声を上げるPちゃんに、泣き出しそうになるのを必死に堪える生徒たち。
トラックを囲み「Pちゃん!Pちゃん!」と、好物のトマトを食べさせ笑顔を見せます。
それでも、自然と溢れ出る涙は止まらず、とうとうPちゃんを乗せたトラックが動き出しました。
生徒たちは、Pちゃんのあとを追って坂を駆け上がります。
その姿が見えなくなっても「Pちゃん!Pちゃん!」と、呼び続ける声はずっと響いたのでした・・・
完
「ブタがいた教室」見どころ
主演の妻夫木聡をはじめ、6年2組の子供たちのリアルなディベートシーンに拘った今作。
その “本気の言葉” に胸が締め付けられるでしょう。
1990年、小学校の新任教師が実際におこなった “いのちの授業”。
子供たちが豚を飼育した後、自分たちで食べるという究極すぎる食育の方法は大きな反響を呼びました。
ドキュメンタリー番組として、1993年に放送されたのでご存じの方もいるでしょう。
監督・前田哲も先生と子供たちが命について考える、真剣な姿に心を打たれ映画化に挑んだと言います。
嘘のない言葉で、子供たちを見守る星先生として彼らの前に立つ妻夫木聡。
そして、映し出されるのは、演技を超えた子供たちの熱い感情や自然と溢れ出る涙。
約6か月、子供たちがPちゃんと過ごした日々が本当にあったという証が真っ直ぐに観る者の心に迫ります。
つたない言葉でも懸命に自分の気持ちを伝える子供たちの声、表情は台本通りでは無い純粋な彼らの姿なのです。
本編で星先生が言うように、どの言葉も “正しい・間違い” は無く色々な意見があって良い。
笑って悩んで泣いて、真剣な眼差しの子供たちに大人がハッとさせられます。
そして、生徒の父親役を演じた、近藤良平やピエール瀧。
彼らも“無駄にしちゃいけない” と、命をいただく時に大切にしなければならない思いを伝えます。
学校中を巻き込んで、Pちゃんから沢山の事を学んでいく子供たち。
「みんな、素直でかわいい!」と、その中に人気俳優・北村匠海(当時・小4)の姿も!
俳優たちの子役時代を見つけるのも、過去作品の醍醐味ですね。
北村匠海のブレイク作「君の膵臓をたべたい」もおすすめです。
とても難しいテーマ “食と命”。
命をいただく有難さを、子供たちと共に真剣に考えさせられる作品です。
活字では伝える事の出来ない子供たちの熱量や教室の空気を、その目で観て心で感じて下さい!
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