映画「エグゼクティブ・デシジョン」は、カート・ラッセル、スティーブン・セガール共演、スチュアート・ベアード監督の1996年の映画です。
この「エグゼクティブ・デシジョン」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
ジャンボ機をハイジャックしたテロリストとの戦いを描く「エグゼクティブ・デシジョン」をお楽しみください。
「エグゼクティブ・デシジョン」あらすじ
特殊部隊のオースティン・トラヴィス中佐(スティーブン・セガール)は、イタリア トリエステにあるマフィアのアジトを急襲し制圧しました。
しかし、目的だった神経ガスDZ-5があるとされた倉庫はもぬけの殻で、作戦は失敗でした。
その数か月後、テロ組織のリーダー ヤファーが娘の結婚式中に襲われ、身柄を拘束されました。
アメリカ陸軍情報部顧問 フィル・デイヴィッド・グラント博士(カート・ラッセル)は、これで平和が訪れると喜びました。
ところが、組織のNo2であるナジ・ハッサン(デヴィッド・スーシェ)は独自にロンドンで自爆テロを起こさせます。
その上でワシントンD.C.行きの747型ジャンボジェット機をハイジャックし、ヤファーの身柄返還を要求してきました。
軍と国防長官は国の安全の為にヤファーを解放しようとしますが、グラントの考えは違っていました。
そもそもナジはこのところヤファーと対立するようになっており、今回のハイジャックもヤファーの解放が真の目的ではなく、飛行機内にDZ-5を持ち込み、ワシントンに旅客機ごと突っ込んでアメリカに致命的なダメージを与える事が目的だと主張しました。
要求を呑むか、旅客機の撃墜かで悩むなか、トラビス中佐が第3の選択肢を提示します。
技術部のデニス・ケイヒル(オリヴァー・プラット)が開発したステルス空中輸送機で旅客機と空中ドッキングをして、ハッチをこじ開けて中に侵入、空調を使って催眠ガスを機内に充満させて制圧する作戦です。
はたして・・・
「エグゼクティブ・デシジョン」ネタバレ
すぐさま部隊が編成され、ケイヒルが輸送機のドッキング操作、グラントが情報分析の為に同行する事になりました。
トリエステでのDZ-5奪還失敗の件で、トラビス中佐とグラントの間には確執がありました。
「グラント博士、DZ-5があるという情報を信じて作戦を実行したのに、あそこにはなかった。情報が間違っていたんじゃないのか?(今回も、機内にDZ-5があると信じて良いのか?)」
「情報は間違っていない。作戦が遅すぎたんだ。信用してないなら、何で今回も行く気になったんだ?」
「他に行く奴なんていないだろう」
仕方なく、今回も二人は手を組むことになりました。
トラビスの部下達と共に輸送機に乗り込んだグラントでしたが、リラックスして冗談を言い合うトラビスの部下達とは違って慣れない現場での任務に緊張していました。
やがて、輸送機は旅客機の下につけ、秘密裏に空中ドッキングが開始されました。
まずケイヒルが先頭で行ってハッチを開放、次にラットが警報を解除して中に侵入する手筈でした。
しかし、ドッキングの最中に乱気流が起き接続が不安定になってしまいます。
また、警報のセンサを向こうにしていたカバーが外れ、操縦室で警報が鳴ってしまいます。
不審に思ったナジの部下と副機長が様子を見に来てしまいました。
このままでは気圧差で接続口が吹き飛び、輸送機が空中分解しまうと思ったトラビス中佐は、とっさにグラントを飛行機内に非難させ、接続が不安定になりながらもラット、キャピー、ルーイ、ベイカーの部下5名とは送り込めましたが、トラビス中佐が「後は頼んだ!」とハッチを閉めてすぐに輸送機が空中分解を始め、中佐は機内に戻る事が出来ず、輸送機が分解し、機外に放り出されてしまいました。
更に爆弾処理担当のキャピー(ジョー・モートン)が機内に入る際に転落し、背骨を損傷して体を動かせなくなってしまいます。
何とかグラント達は機内への潜入に成功したものの、手持ちの機材は少なく、通信機も入っていなかったので自分達が機内にいる事を知らせる事が出来ません。
作戦が失敗したと判断されれば、乗客と共の撃墜される恐れもある状況です。
その時、警報が鳴って不審に思った副機長が、機械室の様子を見に来ました。
機械室の外ではナジが様子を見張っており、気付かれれば一巻の終わりです。
グラント達は息をひそめ、様子を見に来た副機長に目で合図を送りながら焼けた基板を渡しました。
状況を察した副機長は焼けた基板をナジに見せながら「過負荷で基板が焼けたせいだった。故障だよ」とうまく切り抜けてくれました。
何とか当面の危機は去ったものの、危ない状況であることには変わりありません。
技術屋で現場経験のないケイヒルは、爆撃機が迫っている事をナジに明かして危機を脱しようと主張しますが、そんな事をしてもナジが作戦を変える筈がないとグラントに言われてしぶしぶ引き下がりました。
特殊部隊のラットは機内を制圧しようと言いますが、グラントとキャピーは爆弾除去を優先しようと主張します。
必死に説得にラットも折れ、アメリカの領空に入る4時間後までに爆弾処理を行い、同時にナジを探すためのファイバースコープカメラなどを客の手荷物から探す事になりました。
狭い機内を歩くうち、慣れていないグラントは物音を立ててしまいます。
ナジの件を轢いてその窮地を救ってくれたのはCAのジーン(ハル・ベリー)でした。
グラントはその勇気に驚きます。
その頃、機内では別の動きがありました。
偶然に乗り合わせていたマヴロス上院議員(J・T・ウォルシュ)がナジと交渉を始めたのです。
そこには、あわよくば次の大統領選挙の時にむけて好感度を上げてゆきたいという狙いがありました。
それを聞いたナジは「我々は自分の立場とやるべき事をしっかりと理解している訳だな」と不敵な笑いを浮かべたのでした。
その頃、ラットたちによって手荷物の中に紛れていたDZ-5と起爆装置が見つけ出されていました。
予想していたよりも量は多く、ばら撒かれればワシントンのみならず東海岸の半分に被害が広がる事が予想されました。
爆弾は気圧を感知して作動する仕組みになっており、それを無効にしないと爆発してしまいます。
しかし、体が動かず、痛みを和らげるモルヒネで頭がもうろうとしているキャピーに爆弾解体は無理です。
苦肉の策として、技術者であるケイヒルが解体を担当する事になりました。
また、機内を制圧するにしても人数が足りません。
実戦経験が殆ど無いグラントが部隊に加わる事となりました。
グラント達が突入のタイミングを待つのと並行して、横で寝ているキャピーの指示で、ケイヒルは手を震わせながら爆弾を処理しました。
制圧部隊は、これで作戦がやりやすくなったと安堵します。
しかし、その直後、突然に起爆装置が動き始めました。
どうやら単なる動作テストだったようで、爆発はせずにまた装置は動きを止めましたが、キャピーの顔色は真っ青になっていました。
「しまった、まだ処理は終わっていない。気圧とは関係なく、機内の誰かがリモコンのスイッチを押せば爆発するぞ!」
しかも、それを皆に伝えた直後、キャピーは症状が悪化して気絶してしまいました。
その頃、国防長官たちはヤファの解放を決定しました。
ヤファは、ナジを説得してグリーンランドに着陸させることを条件に解放されてジェット機に乗せられました。
ジェット機が上空に達した時、約束どおりヤファはナジに電話をして無事に解放された事を伝え、進路を変更するように言いました。
しかし、ナジはヤファの開放を喜びながらも「これから私は神の剣となって、驕り高ぶる異教徒どもの心臓を貫いてやります!」とワシントン攻撃の意思は変わらず、反対する部下を殺害してまで進路を変えようとしません。
二人の会話は国防長官も聞いており、ヤファの説得が失敗に終わったと知ると、最終手段として空母から爆撃機を出撃させ、撃墜に備えさせました。
そして、グラントもナジと部下の会話から進路変更の可能性が消え、撃墜が近い事を察していました。
爆撃が近いと知ったラットは爆弾を無視して機内の制圧をしようと主張しますが、グラントはケイヒルに爆弾処理を続けさせ、並行して“爆弾係”を探し出そうと提案します。
重荷に耐えかねて尻込みするケイヒルを宥め、ケーブルを切ろうとした時に「それだけは何があっても切るな」と声がしました。
キャピーが目を覚ましてくれたのです。
グラントは爆弾処理を二人に任せ、リモコンを持った“爆弾係”の割り出しに回りました。
グラントは先ほどナジの注意をそらしてくれた度胸を見込んで、ジーンに連絡を取り、乗客の中で「浅黒い肌の中東系、50歳代、小型の電子機器を持っている」という特徴に該当する人物を探してもらう事にしました。
ジーンはナジに怪しまれながらもごまかして切り抜け、とうとう該当する人物を見つけ、手のひらに座席番号を書いてカメラ越しに知らせてくれました。
キャピーは手が震えているケイヒルを説得してケーブルを切らせましたが、その直後に装置は再び動き、今切ったのが囮だったと気付きます。
「くそっ、慎重になり過ぎた。本物は基板の裏に隠されているはずだ」
言われた通りに基板の裏を確認してみると、思った通り、本物の配線と爆破装置が配置されていました。
爆弾処理は一からやり直しとなり、ケイヒルは落胆を隠せませんでした。
一方、機長や操縦室にいたナジの部下は窓の外に爆撃機を見つけます。
爆撃機のパイロットは無線を繋いで旅客機と交渉しますが、失敗に終わりました。
その上、ナジは覚悟を示す為にマヴロス上院議員の頭に銃を突きつけて撃ち殺してしまいました。
やがて旅客機が警戒ラインを越え、いつ爆撃機のミサイルで攻撃されてもおかしくない状況になりました。
何とかして、部隊が機内に入り込み、制圧や爆弾処理を進めている事を伝えようと尾翼のライトの配線を繋いだり切ったりしてモールス信号で爆撃機に状況を伝えようとしました。
幸い爆撃機のパイロットはモールス信号に気付き、国防長官たちにもその報せは届きました。
そして、爆撃を10分間だけ引き延ばし、その間に爆弾を処理して機内を制圧する事となりました。
こんどこそケイヒルは処理を進めようとします。
爆弾を無効化する為に回路の接点に細長くて金属でないもの(ケイヒルが咥えていたストロー)を差し込もうとします。
接点の周りは赤外線レーザーで守られており触れれば爆発します。
ケイヒルの手は緊張で震えていました。
グラントは、機内に入ってジーンが見つけた“爆弾係”の元へ向かいました。
コッソリ近づいて飛び掛かり、爆破装置を奪おうとしますが、人違いでした。
グラントが焦りながらも機内を見渡すと、一人の男が目に止まりました。
写真で見た事のある、組織の爆弾制作担当でした。
「奴だ!爆弾係だ!」
グラントはその男が手に持った機械を奪おうとしますが、相手も急いで爆発コードを入力しようとします。
ラットたちも客室内に飛び込んできてナジの部下達を次々に倒してゆきました。
グラントはもみ合った末、やっと装置を奪いましたが、爆弾はONになってしまっていました。
「エグゼクティブ・デシジョン」最後ラストの結末は?
一方、接点部分に恐る恐るストローを差し込んでいたケイヒルは、急に動き出した装置の音に驚いてストローを突っ込んでしまいます。
その時、接点同士が合わさりましたが、間一髪で間にストローが挟まり、爆発は阻止されました。
しかし、ナジの部下が銃を乱射したために旅客機の壁の一部が崩れ去り、急降下してしまいます。
ストローも外れそうになりますがケイヒルは握りしめて耐え、飛行が安定するまで持ちこたえました。
爆弾処理は成功、機内も制圧し、グラントはナジに投降を促します。
しかし「全て終わっただと?まだだ」そういうと、ナジは操縦室の方に向かって銃を撃ちまくりました。
すぐにラットがナジにとどめを刺しましたが、グラントが操縦室に行ってみると、中にいた者は(ナジの部下で元パイロットの男を含めて)全員死んでいました。
仕方なく、セスナの操縦を練習中だったグラントが操縦席に座りました。
無線も銃で撃たれて、管制塔ともうまく会話が出来ません。
グラントの判断だけが頼りの状態です。
ジーンにフライトマニュアルを読んでもらいながら着陸作業に入りました。
しかし、目的地だったダレス空港では高度が高すぎて失敗でした。
一旦、上昇し直したものの、ジャンボジェット機を旋回させてやり直す程の技術はグラントにはありません。
思い悩むグラントは、いつも練習で使っている飛行場が近くにある事を思い出しました。
一か八か、いつも通り侵入経路や高度、操作タイミングで着陸を開始しました。
本来セスナが下りる為の飛行場なので幅は狭く、旅客機は脇にあるセスナに次々と接触した上に、長さ足りずに行き過ぎてしまいましたが、その先にあった砂山に突っ込んで何とか止まりました。
「やった、無事に止まったぞ!」
爆弾も爆発せず、乗客も無事で、グラントはほっと胸をなど降ろしてジーンと笑いあったのでした。
暫く後、救助されたグラントはジーンに「一緒にホッケー観戦に行かない?」と誘いました。
ジーンは「私、野球が好きなの」と笑いながら答えたのでした。
THE END
「エグゼクティブ・デシジョン」見どころ
遥か上空をとぶジャンボジェット機の中で、現場経験のないグラント達が狂信的なテロリストと渡り合うアクション映画です。
戦闘経験豊富で、ハイジャック対策のプロと言う、頼りになりそうなトラビス中佐(演じるのはアクションスター スティーブン・セガール)は冒頭の方でいなくなってしまいます。
加えて機材も足りない、爆弾処理担当のキャピーは背骨損傷で動けないと言う絶対的に不利な状況の中でグラント達は知恵を絞って、勇気も振り絞って、爆弾処理をしたり、銃を握って客室に乗り込んで行ったりします。
地上の国防長官たちは、グラント達が機内に潜入したと知らず、危険な化学兵器が積まれている確証もないまま400人の民間人を犠牲にして旅客機を撃墜するかどうかの「最終決定(エグゼクティブ・ディシジョン)」を迫られます。
CAのジーンや、航空保安官もテロリストの目を盗んで命懸けの協力をしてくれます。
地上と上空で常に予想外の事態が起こり、緊張感満載のシーンが連続します。
対するテロリスト達は、リーダーが解放されてもアメリカへの憎しみを捨てずに自爆テロの道を選ぶなど、狂信的でどう出るか分からない不気味な存在として描かれています。
この作品が作られた後に起こった9.11同時多発テロと相通じるものを感じずにはいられません。
(狂信的なテロリスト ナジを演じるのはドラマ「名探偵 ポワロ」で主役を演じたデヴィッド・スーシェです。ドラマの知的で少しコミカルなイメージとはガラリと変わった役を演じていて、そちらも驚かされます)
すべてが予想外、どんでん返しの連続のなかで、それでも仲間や自分の能力を信じ、各々が使命に従って戦う心の強さも教えてくれるアクション映画の傑作です。
みんなの感想