映画「西の魔女が死んだ」は、サチ・パーカー主演、長崎俊一監督の2008年の日本映画です。
この映画「西の魔女が死んだ」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。
多感な少女と素敵なおばあちゃんが過ごした一夏を描く「西の魔女が死んだ」をお楽しみください。
原作は梨木香歩の同名小説です。
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■ スタッフ
監督: 長崎俊一
製作: 柘植靖司谷島正之他
製作総指揮:豊島雅郎
脚本: 矢沢由美、長崎俊一
撮影: 渡部眞
音楽: トベタ・バジュン■ 主要キャスト
おばあちゃん:サチ・パーカー
まい:高橋真悠
ママ:りょう
パパ:大森南朋
ゲンジ:木村祐一
郵便屋さん:高橋克実
「西の魔女が死んだ」あらすじ
心が疲れてしまって学校に行けなくなってしまったまい(高橋真悠)は、山で一人暮らししているおばあちゃん(サチ・パーカー)の家に行く事になりました。
小さい頃から、大好き、と伝えると、I knowと答えてくれる優しいおばあちゃん(サチ・パーカー)。
濃い緑に囲まれた一軒家で始まる二人の時間は優しく、そして様々な思春期の揺らぎを見せながら流れていきます。
これは、魔女の血を引くおばあちゃんと、魔女修行に励む孫娘の夏の一ヶ月をおさめた優しいお話です。
「西の魔女が死んだ」ネタバレ
助手席に乗っているまい(高橋真悠)にママ(りょう)が言いました。
魔女が倒れた、もうだめみたい、と・・・。
それを聞いて顔を覆ってしまうまい。
彼女は二年前のことを突然思い出します。
学校に行けなくなっておばあちゃん(サチ・パーカー)と一緒に暮らした一ヶ月あまりのことを・・・。
中学に入って一ヶ月にもならなかった当時、まいはママに、学校へはもう行かない、と宣言します。
あそこは私に苦痛を与える場所でしかない、と話す娘を穏やかに認め、実家へ預ける事にしたママですが内心は動揺していたようです。
夜、電話しているママは、眠れないまいが聞いているとは思いもしないで、昔から扱いにくくて感受性の強い子だから・・・とボヤくように話しています。
・・・扱いにくい子・・・と呟くまいは、そっと膝を抱えるのでした。
ママの赤い車は山道を走っています。
綺麗に舗装された道から細い山道に入り、吠え立てる犬を飼う家を少し過ぎたところがおばあちゃんの家。
出迎えてくれたおばあちゃんはいつもと同じ優しい笑顔で迎えてくれました。
三人でお茶をしながら、心地いい風を感じていたまいですが、やはり頭から離れないのは、扱いにくい子、という言葉。
しかし彼女がサンルームに向かったとき、ダイニングにいるおばあちゃんはママに言ってくれました。
まいのような子が生まれてきてくれた事を本当に感謝している、と―――。
まいは、荷物を取りに車に向かったとき、おばあちゃん以外の山の住人に初めて会います。
その男は窓に手をかけ、ママの車の中を凝視している不審な姿で現れたのです。
急なことに驚き、固まるまい。
険しい顔をした男が振り返った時なんとか挨拶するも、男はそれを無視して、どこのもんじゃ!と怒鳴るようにして聞いてきます。
そしてまいがここにしばらく居ることを知ると、ええ身分じゃな!と吐き捨てるように言って去っていったのでした。
男の名前はげんじ(木村祐一)。
彼は小道の入口の、あの犬を飼っている家に住んでいます。
時々庭おばあちゃんは庭仕事を頼んでいるようです。
おばあちゃんに来た翌日まいは素敵な場所を見付けました。
裏山へ向かったまいの目の前に広がったのは、赤く色付いた沢山の野いちごです。
草木を超えてポッカリと広がった気持ちのいい空間に、まいは何故か学校での自分を思い出します。
笑いさざめくクラスメイトの中、たった一人で座って給食を前に俯いている自分を・・・。
エスケープ、とりあえずエスケープだ!と寝転がって空を見上げるまい。
そこへバケツを二つ持ったおばあちゃんがやってきました。
この野いちごを沢山摘んでジャムにするのです。
この野いちごの畑はおじいちゃんからのプレゼントでした。
おじいちゃんが亡くなった翌年の誕生日に、ここは野いちごの絨毯になったからです。
野いちごのジャムが大好きだったおじいちゃんは、一度もおばあちゃんの誕生日を忘れたことがありませんでした。
嬉しくって嬉しくって、ここにうずくまって泣きました、と話すおばあちゃん。
二人はとても愛し合っていたのです。
その夜、床に寝そべって植物の絵を描くまいと、縫い物をしているおばあちゃん。
静かな時間が二人のあいだを流れています。
するとおばあちゃんが突然、魔女を知っていますか?と聞いてきました。
おばあちゃんの祖母は魔女だったというのです。
不思議な力を持っていたという祖先の話に、ウチはそういう家系なの?と興味津々のまいは、自分にはそんな力なんてない・・・と肩を落としますが、おばあちゃんは、どうでしょうね、といつも含みを持たせた笑顔で優しくまいを見詰めるのでした。
山の暮らしはまいに合っているようです。
彼女は野いちごの丘からの途中に、お気に入りの場所を見付けました。
道を反れた場所にある日だまりです。
美しい鳥たちの鳴き声が響き渡る穏やかな場所で、切り株に腰掛け空を見上げるまい。
ここが大好きだ。
そう心から感じたまいですが、心を占めているのは魔女の血の事。
私にも魔女の血が流れてるんだろうか・・・?
夜になって、まいはおばあちゃんに魔女修行を願い出ました。
魔法や奇跡を起こすには精神力が必要だと解きながら、ますおばあちゃんがまいに指示したのは一日のスケジュールを作ることでした。
魔女にとって一番大切なのは意志の力、自分で決める力、そして自分で決めた事をやり遂げる力・・・。
朝は七時に起きて午前中は家事、午後は勉強や読書、就寝は夜の十一時とスケジュールを書いた紙を貼るまい。
そんな彼女をおばあちゃんは、本人以上に信じてくれたのでした。
こうして魔女修行が始まりました。
朝は鶏小屋から卵を取ってくることから一日が始まります。
朝食後は皿洗いに放棄を使っての掃除、それからミミズにびっくりしながらの畑仕事をこなして午後は机に向かってお勉強。
魔女修行はまいと思っていたものとは随分違いましたが、新鮮な面白さを彼女に与えてくれたのでした。
しかし、初めて会った時以来げんじの事は苦手なままです。
彼の家近くのゴミ収集場所へゴミ出しに出掛ければそこにはむき出しの青年雑誌が何冊も捨てられているし、なぜこんな男が自分の生活に入り込んでくるのか、と怒りで心を塗り潰すのです。
そんなまいの毒気を抜いてくれたのもおばあちゃんでした。
走って帰ってきた彼女に足踏みの洗濯を頼んだのです。
二人で大きく広げて干すシーツ。
ラベンダーの上に広がる真っ白なシーツを見ていると、嫌な事がどこかに飛んでしまったような気がしたのでした。
畑の薬だと言いながらミントティーとセージティーを作るおばあちゃんは、まいにも好きな場所に畑を作って良いと言ってくました。
そこですぐに浮かんだのはあの日だまりです。
おばあちゃんはその場所を、マイ・サンクチュアリ、と呼んでまいの場所だと認めてくれたのでした。
ある朝のこと、いつものように卵を取りに行ったまいは、そこで変わり果てた鶏たちを見付けてしまいました。
小屋の金網は破られ何者かの抜けた毛が絡みついています。
鶏たちは全て襲われて餌とされてしまったのです。
悲鳴をあげて蹲ったまいを飛んできたおばあちゃんは庇うように抱え込んでくれました。
以前にも同じうようなことがあったと語るおばあちゃんは、小屋の後片付けをげんじさんに頼みます。
落ち込んでマイ・サンクチュアリに向かったまい。
すると突然空を雲が覆い始め、あたりは急に真っ暗になってしまいました。
風も吹き始め、慌てて帰ろうとしますがいつもとは違う山に道を見失ってしまいます。
雨まで降り始め、ずぶ濡れ状態のまいを見つけてくれたのは、たまたま近くを通りかかった郵便屋さん(高橋克実)でした。
その夜は、おばあちゃんと布団を並べて寝るまい。
彼女はおばあちゃんに、人は死んだらどうなるのか?と質問します。
おばあちゃんは、死んだことがないから分からない、と答えながらもまいがその答えに苦しみを抱えていることを知ると、自分の布団に引き寄せ抱きしめてくれました。
辛かったね、との言葉に泣き出してしまった孫におばあちゃんは自分が信じていることを話してくれます。
人は死んだら魂が体から自由になるのだ、と。
けれども死んでしまう事で今自分が考えていることが消えてしまうのが一番怖いまいは、魂が私なの?と聞くのです。
魂が自分なのなら苦しむためにある身体なんかいらない、と言い出した彼女におばあちゃんは、でもね、魂は身体があるから楽しいことがたくさん経験できて成長できるんです、と答えます。
そして自分が死んだ時には、魂が体から離れた事を知らせてあげますよ、と約束してくれたのでした。
おばあちゃんが約束してくれたことで気持ちを落ち着けたまいでしたが、すぐにまた心を波立たせる事になります。
小屋の仕舞いの支払いを頼まれてげんじの家を訪ねたまいが、初めて会った時と同じように不躾な物言いをする彼に嫌な思いをさせられ、帰ろうとした時でした。
げんじの飼う犬の抜け毛に気がついたのです。
脳裏に浮かんだのは鶏五夜に落ちていたあの抜け毛・・・。
慌てて帰ったまいはすぐさまおばあちゃんに訴えます。
しかしおばあちゃんは、見ていたわけじゃないでしょ、と穏やかに諭そうとするのです。
直感を大事にする事は大切だが、直感にとりつかれてはいけない、と話すおばあちゃんの言葉にはまいも反駁できません。
あまり上等じゃない魔女は自分の妄想に取り付かれて自滅していった、といつになく強い口調で諭すおばあちゃんは、まいの心が疑惑や憎悪でいっぱいになっている事をちゃんと認識させたいのでした。
夜、部屋で一人空の星を見ているまいをおばあちゃんが訪ねてきました。
焼いたばかりのクッキーとお茶を持って・・・。
ダメだな・・・と落ち込むまいですが、おばあちゃんはそんな事ない、と優しく告げてくれます。
ここが大好きだ、というまいにおばあちゃんは、ずっといても良いんですよ、と言ってくれたのでした。
そんなある日、パパ(大森南朋)がやってきました。
仕事で単身赴任しているパパは、そろそろ家族三人で暮らさないか?と言いに来たのです。
引越しとなるとまいもまた転校することになります。
急な話に戸惑うまいですが、これからの事も考えなくてはいけません。
そんなまいには不思議なことがありました。
それは、パパもママもそしておばあちゃんも、誰も彼女が学校に行かなくなった理由を聞かなかったこと。
みんなまいのことを信頼しているからでしょう、と微笑むおばあちゃんは、まいが行かないというからには理由がありと思っている、と言ってくれました。
そこで、自分が学校に行かないと決めた理由を話し始めたまい。
女子特有の付き合いに心を疲弊させた彼女の話を、おばあちゃんは優しく静かに聞いてくれたのでした。
こうして自分の中の澱を吐き出したまいは決心しました。
引越し転校することを・・・。
翌朝それを聞いたパパは安堵したように胸を撫で下ろし、そして喜びを爆発させます。
自分で学校を選びたい、と言うまいの言葉を大喜びで聞いているパパの後ろで一瞬動きを止めるおばあちゃん。
それでも何も言わず、まいの答えを受け止めるのでした。
まいがここで暮らすのも残り二~三日。
引っ越してしまうと、もうおばあちゃんの家にはなかなか来られなくなります。
そんな思いを噛み締めるようにしてマイ・サンクチュアリに向かったまいですが、そこでげんじに会ってしまいました。
庭に使う土掘っとんじゃ、とニヤニヤ笑いながら話すげんじに、まいは無言で立ち去ります。
彼女にとってサンクチュアリへの侵入は決して許せるものでは無かったのです。
敷地への勝手な侵入を許していたらあの土地は全部取られてしまう!と、帰るなりおばあちゃんに訴えます。
しかしおばあちゃんは、挨拶もせずに帰ってきたまいの態度こそ問題だ、と彼女を落ち着かせようとしました。
それでも今回ばかりは自分の感情が抑えられないまい。
あんな汚らしいやつ、死んじゃえばいいのに!!と叫んだのです。
その言葉に思わず平手打ちしてしまったおばあちゃん。
この日以来、まいは一言もおばあちゃんと話す事なくサヨナラの日を迎えてしまいました。
そのまま、まいは迎えの車に乗り込みます。
あんなに大好きだったおばあちゃんに何も言わないままに・・・。
そんな彼女をおばあちゃんはずっと一人佇んで見送るのでした。
「西の魔女が死んだ」最後のラスト結末
そして二年が経ったのです。
今では毎日学校へ通っているまいですが、あれからおばあちゃんには一度も会っていません。
あんな別れ方でおばあちゃんを一人残してくるんじゃなかった、と今なら素直に思える事も、当時の自分には分からなかった・・・。
それでもおばあちゃんはきっといつものように迎えてくれる!そう願い続けてやっと辿りついたおばあちゃんの家から出てきたのは郵便屋さん(高橋克実)でした。
村の人に知らせてきます、そう言葉少なに行ってしまった郵便屋さんと擦れ違い駆け込んだ家にはげんじがいます。
母は?と勢い込んで聞くママに黙って奥の部屋を指差すげんじ。
駆け込んだその部屋で、おばあちゃんは顔に白い布をかけて横になっていました。
間に合わなかった・・・。
泣き叫ぶママの声と押し寄せる後悔を抱えて俯くまいに、外から声をかけてきたのはげんじです。
ここのじいさんにもばあさんにも良くして貰った、と言う彼の姿は二年前の汚らしい男ではなく、拠り所を無くした小さな子供のようにも見えました。
そんなげんじが目を止めたのは、サンルームの中でよく育っていたキュウリ草です。
それはまいがここで大切に育てていた植物。
久しぶりに水をやろうとかがみこんだ時でした。
曇った窓ガラスに文字が残されていたのです。「ニシノマジョカラ ヒガシノマジョヘ オバアチャンノ タマシイ ダッシュツ ダイセイコウ」この言葉に涙を浮かべ唇を震わせるまい。
おばあちゃんは覚えてたんだ、あの約束・・・。
空を見上げるまいはやっと言うのです。
おばあちゃん!大好き!と・・・。
キッチン~I knowと聞こえた気がしました。
完。
「西の魔女が死んだ」見所ポイント!
ずっと見たいと思っていた作品。
とても静かな物語なんだけど、生きていく上で大切にしたいことが、優しく散りばめられていて何度も見返したくなる映画でした。
今作で初めて知った女優さんですが、おばあちゃん役のサチ・パーカーさんがとても綺麗で優しく柔らかくて最高です。
サチ・パーカーさんの一挙手一投足、何気ない仕草、言葉のひとつひとつがとても印象に残ります。
女性ならきっと、こんなおばあさんになれたらいいなと思うでしょう。
生きていくということは、困難にぶつかる事の連続だと思います。
そんな時、自分の決定は自分で決めるべきだけど、この映画に背中を押して欲しいと、そんなふうに感じました。
この映画は、自分自身だけでなく自分の子供が悩んだとき、そして悩む子供に胸を痛めた時など、人生の躓いた時には繰り返し見られるよう、手元にだいじに置いておきたくります。
「人はみんな幸せになるようにできてるんですよ」
是非、ご覧下さい。
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