「海のふた」ネタバレ!あらすじや最後ラストの結末と見どころ

映画「海のふた」ネタバレ あらすじ
ヒューマン

映画「海のふた」は、菊池亜希子主演、豊島圭介監督の2015年日本映画です。

この映画「海のふた」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見所について紹介します。

東京での生活に疲れ帰郷した女性と暗い過去を持つ女性のひと夏の物語「海のふた」をお楽しみください。

原作はよしもとばななの小説です。

■ スタッフ
監督: 豊島圭介
製作: 川城和実、小林栄太朗
脚本: 黒沢久子
撮影: 戸田義久
音楽: 宇波拓

■ 主要キャスト
まり:菊池亜希子
はじめ:三根梓
オサム:小林ユウキチ
まりのお母さん:天衣織女
まりのお父さん:鈴木慶一

「海のふた」あらすじ

大学進学を機に東京に出て、そのまま就職していたまり(菊池亜希子)が突然「かき氷屋をする!」と宣言して帰ってきました。

彼女の田舎は海の綺麗な西伊豆。

そこに、母の友人の娘・はじめ(三根梓)も加わって、彼女たちの夏が始まります。

この物語は、ゆったりと時間の流れる海の田舎で、その良さと閉塞感を感じさせてくれる、穏やかな映画です。

 

「海のふた」のネタバレ

高校時代の恋人オサム(小林ユウキチ)は、突然店を開くと言い出したまり(菊池亜希子)の話に呆れ気味・・・。

それでも彼女は、夏だけじゃない冬でも美味しいかき氷を目指して、改装からすべて自分で手掛けて店の準備を始めました。

彼女のこだわりは細部まで行き届き、本当に自分が美味しいと思う手作りシロップのかき氷で店を開きたいのです。

店舗デザインも自分でこなし、毎日改装に取り掛かるまり(菊池亜希子)の住まいは実家です。

帰省して突然の発案を形にしていく娘に何も言わない両親ですが、ある日母から頼まれた事がありました。

母の友人の娘を預かることになった為、フェリー乗り場まで迎えに行って欲しいというのです。

 
そうしてまり(菊池亜希子)とはじめ(三根梓)は出会ったのです。

顔に大きな火傷の跡を残す美少女はじめ(三根梓)は、祖母を亡くした事で始まった親戚連中の遺産争いに巻き込まれここにやって来たのでした。

ずっと面倒見てきたのは、はじめちゃん家族なのに!!と憤るまり(菊池亜希子)の母ですが、当の本人であるはじめ(三根梓)は携帯が気になるスマホ・・・。

何を見ているのか、食事中でも画面をチェックしているのでした。

 
はじめ(三根梓)が来た翌朝の事です。

まり(菊池亜希子)が台所に入ると、はじめ(三根梓)がミルでコーヒーを挽いていました。

静かに豆が削られていく音だけが響く台所・・・。

すると突然はじめ(三根梓)が号泣し始めたのです。

声を上げて大泣きするはじめ(三根梓)。

まり(菊池亜希子)は何も言わずその場に座り、ごめんね、と謝るはじめ(三根梓)に、謝らなくていいよ、と返すのでした。

 
これで距離が縮まったのか、開店準備に追われながらも、まり(菊池亜希子)ははじめ(三根梓)を海へと連れ出します。

誰もいない特等席のような海。

そこで突然歌を口ずさみ始めたはじめ(三根梓)。

波の音だけをBGMにして、静かに歌うはじめ(三根梓)のその歌は、海のふた、という曲です。

優しいメロディの音楽を、今度はスマホから音源をとり、二人は波打ち際まで寄って行って静かに耳を傾けるのでした。

 
夜になっても二人は一緒にいます。

店で仕込みを始めたまり(菊池亜希子)。

彼女はサトウキビから糖蜜をとり、それをシロップにしようと考えているのです。

手間暇かけて美味しいものを・・・そのコンセプトに忠実なまり(菊池亜希子)のそばで、その作業を珍しそうに見ているはじめ(三根梓)なのでした。

 
シロップにはもう1つ、夏みかんも作っていよいよ開店です。

メニューはかき氷、糖蜜と夏みかん、あとはコーヒーのみ。

はじめ(三根梓)も一緒になってお客を待ちますが、しかし一向に人が入ってくれません。

それどころか店の前を歩いている人すら数える程しかいないのです。

この状況にまり(菊池亜希子)は、はじめ(三根梓)にかき氷を振舞いました。

美しく盛られた氷に糖蜜をかけて・・・。

 
すると、まり(菊池亜希子)の制止を押し切って、はじめ(三根梓)が五百円玉を取り出すのです。

初めてのお客さんにさせて、と微笑みながら。

はじめ(三根梓)が糖蜜の美味しさを堪能しているとき、小さなお客さんが入ってきました。

ところが少女が欲しかったのはいちごの赤いかき氷。

目当てのモノがなかった事で大泣きする少女は、結局母親と店を出ていってしまったのでした。


夕方、二人はまた海へやって来ます。

さっさと服を脱ぎ捨てるまり(菊池亜希子)に対し、はじめ(三根梓)は海で泳いだことがありません。

そのため入ることが怖い、という彼女にまり(菊池亜希子)が聞きます。

火事の時も怖かった?はじめ(三根梓)の顔に残るやけどの原因ともなった火事の時、彼女を守ってくれたのはおばあちゃんでした。

だからはじめ(三根梓)心には怖さよりもおばあちゃんの匂いが残っているのです。

少しずつ慣れていけば入れるようになるかな?とそっと靴を脱いで波打ち際へ近付いていくはじめ(三根梓)なのでした。

 
夏も盛りを迎え、少しずつ来店客も増え始めましたが、まり(菊池亜希子)とはじめ(三根梓)は海へ行くことが日常になっています。

この日も二人で浜辺を散策。

見つけた珊瑚のかけらを空に掲げたはじめ(三根梓)に、昔はここにも珊瑚がいたんだよ、と懐かしむように、そしてどこか悔しそうに言うまり(菊池亜希子)。

地元の寂れっぷりが目について仕方ない彼女は、たまたま通りがかったオサム(小林ユウキチ)を捕まえてぼやき続けています。

愛がないお金の使い方をしたせいだ、とブツブツ文句を言うまり(菊池亜希子)ですが、オサム(小林ユウキチ)はあまり反応を返しません。

彼はまり(菊池亜希子)のお店に知り合いを呼び込んでくれたあと、鳴った携帯を気にしながら帰っていったのでした。

 
東京に出たまり(菊池亜希子)と違い、ずっと地元に残って家業の店を継いだオサム(小林ユウキチ)。

それで自然消滅のように終わってしまった二人ですが、はじめ(三根梓)には海の向こうに彼氏がいます。

アフリカでボランティアをしているので、いつでも連絡が取れるわけでもないので、はじめ(三根梓)がスマホを気にしていたのはこの為だったのです。

滅多に連絡のない彼氏ですが、まり(三根梓)はさみしさを感じるより先に考えてしまうことがある様子・・・。

貧しい子供たちのために働きたいと海外へ行ってしまった彼は、自分にこの火傷がなくても付き合ってたのかな?と―――。

 
はじめ(三根梓)は少しずつ海に慣れ、まり(菊池亜希子)の助けもあって、体を浮かべて空を仰げるまでになりました。

店を開いて海に入る。

そんな毎日の繰り返しの中、まり(菊池亜希子)はオサム(小林ユウキチ)に会うと、どうしても地元の過疎化を愚痴ってしまいます。

町並みの変化を口にしながら、なんでこんなふうになっちゃったのかな、とぼやくまり(菊池亜希子)。

すると突然オサム(小林ユウキチ)が堪らないように口を挟みます。

話を作るな、と。

お前が東京に出る前から寂れ始めてたの気づいてただろ!と苛立ちをぶつけるオサム(小林ユウキチ)には、彼女の愚痴が我慢ならないのです。

結局彼は自転車に乗り去っていってしまいました。

 
そんなオサム(小林ユウキチ)でしたが、まり(菊池亜希子)が店のフランチャイズ化を断った日の夕方、店にやってきます。

バケツを持参した彼と三人、海で花火に興じるまり(菊池亜希子)たち。

珍しい彼の行動を不思議がるまり(菊池亜希子)にオサム(小林ユウキチ)はじっと彼女を見ると、じゃあね、と言って一人帰ってしまったのでした。

このオサム(小林ユウキチ)の行動に違和感を強く持ったのははじめ(三根梓)。

深夜、眠っているまり(菊池亜希子)を起こすと、オサム(小林ユウキチ)の自宅へと急ぐのです。

 
サヨナラを言いに来たんだと思う、と言うはじめ(三根梓)の言葉に半信半疑のまり(菊池亜希子)ですが、それは杞憂ではありませんでした。

家業維持のため借金をふくらませたオサム(小林ユウキチ)一家は夜逃げしようとしていたのです。

その姿を見て頭に血が上ったまり(菊池亜希子)はオサム(小林ユウキチ)に詰め寄ります。

しかし、逃げちゃダメだよと追い縋っても、オサム(小林ユウキチ)は目を合わせようとすらしません。

地元に残り必死で頑張り続けてきた彼に、趣味のような店を開いているまり(菊池亜希子)の言葉は通じないのです。

趣味じゃないもん!私あの店でやっていくんだもん!!と懸命に引きとめようとするまり(菊池亜希子)を置いて、振り返ることもなくオサム(小林ユウキチ)は車に乗り込み行ってしまったのでした。

 

「海のふた」最後ラストの結末は?

オサム(小林ユウキチ)において行かれたことで、そのまま海まで走るまり(菊池亜希子)。

静かに泣く彼女を、そっと抱きしめたのははじめ(三根梓)です。

彼女は優しくまり(菊池亜希子)に寄り添いながら、まりちゃんの描くイラストを使わせて欲しいと言い出しました。

イラストを元にしたぬいぐるみを作って売りたいというのです。

虚を疲れたように、なんで今そんなこと言うの?と聞くまり(菊池亜希子)に、今だから、と答えるはじめ(菊池亜希子)。

アフリカの部族に伝わる人形のように、悲しいことを全部吸い取ってくれるぬいぐるみを世界中の子供たちに作ってあげたい、とはじめ(三根梓)は穏やかなトーンで話すのでした。


早速作業にとりかかったはじめ(三根梓)にきちんとしたプランがあります。

海で拾った珊瑚のかけらをぬいぐるみの魂にする事で付加価値を付け、販売はネットだけ・・・。

そう楽しそうに計画を語るはじめ(三根梓)の電話が鳴りだし・・・。

思わず飛びついたはじめ(三根梓)ですが、相手は母親でした。

揉め事の中心になってしまっていた家が売れた、という連絡が入ったのです。

 
翌朝、最後だからと一人で泳ぎに出たはじめ(三根梓)ですが、夏の終わりということで体中をクラゲに噛まれて発熱してしまいます。

それでも、こんなに自然に生かされてるって感じた事はなかった、というはじめ(三根梓)の表情は明るく満足気です。

そしてアフリカに行く決意をまり(菊池亜希子)に伝えます。

アフリカに行って戻ってきたらぬいぐるみ作る。

色々ありがとうというはじめ(三根梓)に、まり(菊池亜希子)もまた優しい微笑みを返すのでした。

 
こうしてはじめ(三根梓)は帰って行きました。

来た時とは大きく違う表情のある顔で―――。

はじめ(三根梓)がいなくなってもまり(菊池亜希子)の毎日は変わりません。

変化といえば、いちごの赤いシロップを作ったこと。

いつかの小さな女の子もやってきて、美味しい美味しいと言いながら笑顔で食べています。

穏やかな空気の流れる今日も、まり(菊池亜希子)はここで生きていくのです。

完。

 

「海のふた」見所ポイント!

閉塞感漂う過疎の田舎に帰ってきた主人公、と聞くと熱血町起こしがメインの作品が多い気がしますが、これはそういったジャンルとは一線を画すとても静かで穏やかな作品です。

どの役者さんもなんとなく雰囲気を感じる方ばかりでしたが、個人的にオサム役の小林ユウキチさんと菊池亜希子さんの夜逃げで揉めるシーンがとても胸に応えました。

地元を長く離れて帰ってきた者にとって、そこが大きな都会でない限り多かれ少なかれ感じるのではないかと思う寂れた空気。

けれどそれを簡単に口にしてしまうのは、そこにずっとしがみついて頑張ってきた人達に対する冒涜だと感じたからです。

 
田舎に帰って店を開きたい。

そこに、過疎な故郷を元気づけたいなどという考えは驕りでしかないのであって、単純に自分が店を開くならベストな場所だと決めて帰ってきたのであれば、街の寂れ方について軽々しく口にするべきではないと痛感しました。

それだけにオサムの吐くセリフ全てが痛々しかったです。

 
また小林ユウキチさんが頭ボサボサの細身姿で、20代という華やかな時を、時間の止まったような地元で必死に抗い捧げてきた青年、といった様相でとってもリアルだったんですよね。

これは、ちょっと何度か、繰り返してみたくなる作品でした。

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