映画「それでも夜は明ける」は、キウェテル・イジョフォー主演、スティーヴ・マックイーン監督の2013年の映画です。
この映画「それでも夜は明ける」のネタバレ、あらすじや最後のラスト結末、見どころを紹介します。
実在した黒人男性の壮絶な体験を映画化した「それでも夜は明ける」をお楽しみください。
これで「それでも夜は明ける」のすべてがわかります。
「それでも夜は明ける」あらすじ
19世紀、ニューヨーク。
黒人の音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、突如拉致されて奴隷としてニューオリンズの農場主に売り飛ばされてしまいます。
白人たちから虐待されながら、過酷な労働を12年も続けることになってしまったソロモン。
そんなソロモンの前に、奴隷制制度の完全撤廃を唱えるカナダ人男性バス(ブラッド・ピット)が現れるのです。
19世紀アメリカに実在した黒人男性ソロモン・ノーサップの壮絶な体験の映画化です。
「それでも夜は明ける」ネタバレ
自由黒人のソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)はサラトガで妻と二人の子供と暮らしながらバイオリン奏者として活躍していました。
ある日、友人から二人の白人を紹介されます。
奇術師とその助手だというその男性たちは、自分たちが開くショーで演奏してくれないかとソロモンに話を持ちかけます。
二人の話を信じたソロモンは二人に誘われワシントンまでやって来ますが、その夜ソロモンに悲劇が訪れるのです。
二人はソロモンを騙して奴隷として売っしまいます。
ワシントンに来た夜、ソロモンは食事に薬が入っていることに気付かず眠ってしまい、朝目を覚ますと手足は鎖で繋がれ拘束されていたのです。
訳の分からないソロモンはどうにかその鎖を取り外そうとしますが外れることはありませんでした。
少しずつ記憶を取り戻したソロモンはやっと二人に騙された事を知るのです。
いくら自由黒人だと主張しても取りあってもらえず、ジョージア州から逃げてきた奴隷だと言われ、折檻を受けるのです。
ソロモンの「助けてくれ!誰か、助けてくれ!」という叫びは、誰にも届くことはありませんでした。
ソロモンは船で収容所へと連れて行かれますが、その船には他にもロバート(マイケル・K・ウィリアムズ)やクレメンズ(クリス・チョーク)そして子供と一緒に囚われたイライザ(アデペロ・オデュイエ)など多くの黒人が奴隷として監禁されていました。
そんな中、イライザが奴隷商人に暴行されそうになるのを止めようとしたロバートが刺されて死んでしまいます。
その遺体を海に投げ入れるよう指示されたソロモンとクレメンズ。
クレメンズは亡くなったロバートを見て「俺たちよりも幸せだよ…。」と呟くのでした。
その後、クレメンズは主人が迎えに来たため船から降りることに。
去っていくクレメンズの背中を見たソロモンは酷く悲しい表情を見せるのです。
ソロモンはプラットという名前を付けられイライザと共に、農園を営むウィリアム・フォード(ベネディクト・カンバーバッチ)という男性に買われていきます。
ウィリアムはとても温厚で、子供と引き離されないようイライザと子供を一緒に買おうとしますが、奴隷商に断られ、仕方なくイライザだけを連れていくことに。
しかし、子供と引き離されてしまったイライザはショックを受け泣き崩れるのでした。
フォード家の奴隷となったソロモンは、さっそく大工仕事に取り掛かります。
大工でソロモンらの指導役のジョン・ティビッツ(ポール・ダノ)は陰湿な性格で、「ニガーよもっと逃げろ シャツをひきちぎるぞ」と歌をうたい、ソロモンらを馬鹿にするのです。
ある日、ソロモンはウィリアムに「船を使って木材を運んでみたらどうでしょうか。」と提案します。
ティビッツはソロモンの話に茶々を入れこの計画を反対しますが、知識のあるソロモンの話に興味を持ったウィリアムはこの計画を実行に移します。
ソロモンの提案した計画は成功し、ウィリアムからも一目置かれるようになったソロモン。
バイオリンを渡され、音楽でも楽しませて欲しいと言われます。
しかし、ソロモンはこれを妬んだティビッツに執拗ないじめを受けることになってしまうのです。
ティビッツが仲間を連れてソロモンの前に現れ、手を拘束したソロモンの首にロープをくくりつけ木に吊るそうとしたのです。
幸いフォード家の監視官が現れ、難を逃れたソロモンでしたが、つま先立ちしないと首を吊ってしまいそうな状況には変わりません。
しかし、ソロモンのそんな状況を見てもフォード家の住人や奴隷たちは主人のウィリアムが帰るまで、誰一人としてソロモンを助けようとはしないのです。
監視官に呼ばれ急いで帰宅したウィリアムはすぐにソロモンが吊るされたロープを切ります。
このままではソロモンの命が危ないと考えたウィリアムはエドウィン・エップス(マイケル・ファスベンダー)にソロモンを売ることに決めます。
エップスの家に売られたソロモンは農園で棉花の摘み取りの仕事をさせられます。
棉花の摘み取り量が少ないと鞭打ちを受けなければならない過酷なものでした。
しかし、エップスのお気に入りのパッチー(ルピタ・ニョンゴ)は優秀で罰を受けることはありませんでした。
収穫量を褒められるパッチーでしたが、浮かない顔をしています。
実はエップスから日常的に性的虐待を受けていたのです。
エップスに気に入られているパッチーを快く思わないエップス夫人(サラ・ポールソン)は、エップスにパッチーを他に売って欲しいと言いますが、「誰よりも棉花を収穫する子だ。あの子を売るくらいならお前を捨てる。」と言われてしまいます。
ある日、ソロモンはエップスの言いつけでショー夫人(アルフレ・ノーサップ)の元に遊びに行っているパッチーを呼びもどしに向かいます。
急いで帰らないと叱られるというソロモンにショー夫人は「例え早く帰ったってエップスは怒るわ。お茶でも飲んでいきなさい。」と言ってソロモンを席に座らせます。
ショー夫人はかつて奴隷として働いていた女性でした。
パッチーの気持ちが良く理解できるため、安息日である日曜日にパッチーを招き、話を聞いていたのです。
ショー夫人は「主人の慰み物になる気持ちは良くわかるわ。夜を耐えるか、昼間の鞭に耐えるしかないの。でもいずれエップスには罰が下るわ。」と言ってパッチーを励まします。
エップスの屋敷に戻ったソロモンとパッチー。
エップスはソロモンがパッチーに耳打ちしたのを目撃し、ソロモンに腹を立てナイフで切りかかります。
騒ぎを聞いたエップス夫人は「安息日まであの子と居たいっていうの?不潔だわ。」と言いエップスを罵るのでした。
加速するエップス夫人からの嫌がらせとエップスからの性的虐待に耐えられなくなったパッチーは、ソロモンに自分を殺して欲しいと話します。
しかしソロモンは「君を殺したら私は地獄に落ちるんだぞ。」と言ってそれを断るのでした。
エップスの棉花園は害虫の被害にあってしまいます。
農園の収穫が出来ないため、エップスはソロモンらを裁判官の家に貸し出すことに。
裁判官は、ソロモンがバイオリンを弾けることに気付き、パーティーで演奏して欲しいと話します。
ソロモンはそのパーティーで僅かな報酬を受け取ることが出来ました。
裁判官の農園での勤めを終え、エップスの農園に戻ったソロモンたち。
農園にはアームズビー(ギャレット・ディラハント)という白人の奴隷がやって来ます。
監視官を務めていたアームスビーは仕事をしくじったために奴隷になってしまったのです。
アームスビーから身の上話を聞かされ次第にアームスビーを信用していくソロモン。
ソロモンは「僅かだがこの金を全て渡す。だから頼みを聞いてほしい。そしてこのことは誰にも言わないで欲しいんだ。」と言ってアームスビーにバイオリンで稼いだ金を渡します。
ソロモンは自由を取り戻すために手紙を書こうと決心したのです。
その手紙を郵便局に届けてほしいとアームスビーに頼むソロモン。
「信頼できるのはあなただけです。この手紙の事は誰にも言わないで欲しい。」そう言うソロモンに、アームスビーは「分かった。報酬は少なくても構わない。でもおまえの為に俺も危険を冒すんだから見合った額は貰う。」と言ってソロモンが持っている金を受けとり「二日後に受取ろう。」とソロモンに話します。
ソロモンはエップス夫人に買いものを頼まれた時に少しずつ隠していた便箋に手紙を書きますが、その夜エップスがソロモンの元にやって来て「手紙を書いているニガーがいるらしい。そいつは白人にその手紙を投函するよう頼んだそうだ。アームズビーが、ニガーの中に悪い奴がいます。見張ってないと逃げられますよって言うんだよ。」と話すのです。
アームスビーはソロモンを裏切りエップスに告げ口をしていました。
ソロモンは「それは嘘です。紙もインクもありません。アームスビーはアル中で大嘘つきです。監督官にするつもりではありませんよね?そう持ちかけられたのですね?あいつは口が上手いので騙されたんです。手紙の話は作り話です。」と話し難を逃れます。
アームスビーに裏切られたソロモンは手紙を燃やし、灰になった手紙を見て涙を流します。
一瞬で希望が消えてしまったのです。
エップスの家で大工をしていたカナダ人のサミュエル・バス(ブラッド・ピット)と出会ったソロモン。
バスは奴隷制度を快く思っておらず、バスの事は気遣うのに他の従業員の労働環境が酷過ぎるのではないかとエップスに訴えます。
「労働者は俺の所有物だ。」と自慢げに話すエップスに「一人の権利は全員の権利、白も黒も平等だよ。」とバスは話すのです。
ショー夫人の家に行っていたパッチーを逃げたのだと勘違いしたエップス。
帰ってきたパッチーに鞭打ちの罰を与えるエップスにソロモンは「人でなし、いつか永遠の正義によって汝の罪は裁かれる」と叫びます。
ソロモンは、バスを信頼して自分が奴隷として働くことになったいきさつを話すことに。
バスが言った正義を信じ、故郷に住む友人にこの状況を知らせ、自由黒人の証明書を送ってもらうよう頼んでほしいと懇願するのです。
そんなソロモンにバスは「自由であることが一番だ。僕はいつでも自由にこの町を出て行ける。僕の自由は僕だけの喜びだけど、君の自由は多くの人が喜びそうだ。」と言いますが、ソロモンの頼みはちょっと気後れすると話します。
しかし、手紙は書くと約束してくれました。
「それでも夜は明ける」ラスト最後の結末
後日、保安官がエップスの農園を訪ねてきます。
名前を呼ばれ保安官の元へ行くと、ある人から告発文が届いたと聞かされるのです。
そしてそこには、サラトガでソロモンが良く利用していた店の店主パーカーがいました。
バスが告発文を送ってくれたおかげで、ソロモンは自由黒人だと証明され自由の身になれたのです。
農園を後にするソロモンを呼び止めたパッチ―。
二人はきつく抱き合い別れの挨拶をします。
パッチーはソロモンを見送りながら泣き叫ぶのでした。
12年ぶりに自分の家に帰ってきたソロモン。
そこには家族が待っていました。
娘は結婚して、ソロモンには孫も出来たのです。
「今更戻ってきて本当に申し訳ない。」そう言って心配させたことを謝るソロモンに、家族みんなが寄り添いソロモンの帰りを喜びあいます。
ソロモンは自分を誘拐しそれに加担した奴隷商人たちを告訴しましたが、被告が白人の裁判では黒人の証言が禁じられていたため、誰も犯罪者として裁かれることはありませんでした。
それから、ソロモンは奴隷制度廃止運動の活動家として本を出版したり、講演を行ったりして、活動家として多くの奴隷たちを支えました。
ただ、ソロモンの死については全てが謎のままになっています。
THE END
「それでも夜は明ける」見どころ
実話を元にしたこの作品は、ソロモンが奴隷になっていた12年間が描かれていますが、その悲惨さ、過酷さに目を覆いたくなってしまいます。
奴隷として囚われていた人たちの苦しみが作品の中にリアルに描かれています。
同じような作品でケビンベーコンの「告発」を思い出してしまいました・・・
そして、ソロモンを演じたキウェテル・イジョフォーの演技が素晴らしかったです!
家族と過ごしていた時の幸せな表情から一転、地獄のような日々でやつれていく悲痛な表情、それらの表情が言葉よりも多くを語っていました。
他にも、ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピットなど豪華な俳優陣たちが脇を固め、存在感のある演技を披露しています。
とても考えさせられる衝撃のストーリーでしたが、最後まで諦めずに自分の人生を取り戻したソロモンに感動できますよ。