映画「サンブンノイチ」は、藤原竜也主演、品川ヒロシ監督の2014年の映画です。
この映画「サンブンノイチ」のネタバレ、あらすじや最後ラストの結末、見どころについて紹介します。
「サンブンノイチ」は裏切りの連続!最後に笑うのは誰だ?
「サンブンノイチ」あらすじ
ある日、あじさい銀行で強盗事件が発生!
実行犯はキャバクラ “ハニーバニー” の、雇われ店長・清原修造(藤原竜也) 愛称シュウ。
そして、常連客のケンさん(小杉竜一)。
シュウの弟分でハニーバニーのボーイ・コジ(田中聖)が運転手です。【ケンさんは免許がありません】
頼りなさそうなケンさんとコジですが【銀行強盗は計画通り】見事に成功!
三人は、ハニーバニーに身を隠します。
犯行に使用した拳銃を、車に置いて来たと言うケンさん。
それでものんきなケンさんとコジ、警察を警戒するシュウだけ焦っています。
ヤンキーあがりでアホ、夢も無く喧嘩くらいしか取り柄のないコジ。
一緒に金の使い道を楽しそうに喋るケンさんは、焼肉チェーン店の社長。
「お金、分けちゃいましょ」と軽いノリのコジに、何故か歯切れの悪いシュウ。
シュウの言い分はこうです…実際に銀行に入り金を奪ったのは自分とケンさん。
運転だけのコジとはリスクが違う!という事で「1/3は、貰い過ぎなんじゃ…」
ケンさんからも「コジは2割…」と言われますが、コジは納得出来ないようです。
そしてここから男たちの騙し合いが始まるのでした・・・
「サンブンノイチ」ネタバレ
ひとり外へ出るシュウ…
じつは銀行で人を殺してしまったのです。
シュウが居ない隙にケンさんに詰め寄るコジは、兄貴分のシュウが自分の取り分を減らしたと知り「1/2にしましょう、俺とケンさんで…」とシュウを殺ると決めたようです。
拳銃は2丁…1つは空砲そして、もう1つは実弾入りでした。
──強盗事件の1週間前・・・
競馬でボロ負けのシュウは、あと1レースだけ手持ちの2,000円で勝負。
これまで堕落した生き方をしてきたシュウも、一度は映画監督になろうと思った事も。
「おめぇの書く筋書は、おもしれぇ」と言ってくれる先輩もいました。
雇われ店長でそこそこの人生、しかしツキが回ってきたのか見事に47万をゲットします。
ところが、興奮のあまり店の売上金400万が入っているバッグを放置。
見つけた時には、中身はカラ…やっぱりツイてない。
ハニーバニーのオーナー・破魔翔(窪塚洋介)、そう!ハマショウは、アイスピックを巧に操り平気で人を殺る危険なイカレ男。
恐怖に怯え困り果てるシュウに、茉莉亜(中島美嘉)が声をかけます。
茉莉亜は、ブロードウェイを夢見る元・女優でしたが、芽が出ずハニーバニーでキャバ嬢をしていました。
シュウから事情を聞き、二人は店の売上金400万を貸してくれそうな川崎のジャバ・ザ・ハット*渋柿多見子(池畑慎之介☆)のもとへ向かいます。 *『スター・ウォーズ』参照
彼女にはどんな奴も頭が上がらない、金も権力もその見た目も強烈な婆さん。
返済期限は1週間、ビビりながらもシュウは渋柿から金を借ります。
──これが、銀行強盗をやる羽目になる経緯。
シュウと同様、コジとケンさんも多額の借金を抱えた似た者同士。
1億6000万もの金を手にした奴ら、仲良しではいられません・・・
コジが車にある実弾入りの拳銃を取りに行っているうちに、命の危険を知ったシュウは「コジが8割、俺たちが1割ずつ」とケンさんも巻き込んで助かろうとします。
キレたら止められないコジに、電話を掛け説得を試みるシュウ。
しかし、そんな間もなく目の前にあらわれたコジに銃口を向けられるのでした。
──男と金…
その陰にはやっぱり女
渋柿多見子から借金して、ハマからの報復を回避したシュウ。
しかし、あと6日で渋柿に400万円を返すなんて無理な話。
すると「銀行強盗やろうよ!」と、シュウとおなじく崖っぷちの茉莉亜が持ち掛けます。
じつは、ハマが店の女子トイレに盗撮用カメラを仕込み、金儲けしていると知った茉莉亜。
悪びれる事もなく損害を嘆くハマは元・女優である茉莉亜を脅します。
「銀行強盗を演出しろ!」
そう、この銀行強盗の真の首謀者はハマでした。
茉莉亜は、男は女を信用しないと言って “茉莉亜の存在は秘密” と約束させ、シュウに男で信用できる仲間を見つけるよう言います。
絶対に裏切らない奴…と、選んだのが「コジ!」──そのコジに、銃を向けられるシュウ。
「お前に8割払う…」その言葉に、単純バカなコジが早々に納得。
弾をポケットにしまい拳銃を渡すと「揉め事のもと…」と、ケンさんは拳銃2丁を潰れた居酒屋に隠すと言って、エレベーターで下のフロアに下ります。
──銀行強盗3日前
車と拳銃を用意してくれたのは、コジの後輩・若槻(木村了)でした。
コジとは違い、柔らかな顔をしているインテリ系のワル。
ビジネス上手なのは、祖母の教えだと言ってコジを見下しているようです。
「ショットガンがおすすめ…」と、言われますが脅しに使うだけと遠慮するシュウ。
そして、若槻は祖母の教えを三人に伝えます「大切なのはチームワーク」と──
これで、三人は元サヤに…と、二人きりになると笑い始めるシュウとコジ。
銀行強盗を終え【ハニーバニーに着いてからの彼らは、すべて演技なのです。】
ケンさんを騙し、二人で9割の金を手にしたシュウとコジは祝杯をあげるのでした。
「騙されるほうが、悪い…」
店のドアが開き、入って来たのは血を流すボーイの尾形。
拳銃を隠すのも忘れ、うつろな顔のケンさんの手には血の付いた包丁が握られていました。
「すまん、やってもーた」
これで、二人を殺してしまった彼ら、突然のアクシデントにシュウは言葉が出ません。
やっと「救急車を呼ぼう」と言うシュウは何か考えが浮かんだようです。
ハニーバニーに到着した救急車を乗っ取る!そんな大胆な事を考えたシュウ。
そんなことが、上手く行く訳がないと止めるケンさん。
その時、外にはパトカーのサイレンが鳴り響き高まる緊張感!
外を見てきたシュウは「隣のビルに特殊部隊のスナイパーが居る…」と焦った様子です。
──強盗事件、2日前のこと
茉莉亜は、この銀行強盗が終わったらハマのもとを去り自由になるつもりでした。
銀行強盗のあと「ハニーバニーに隠れて」と指示する茉莉亜。
そして彼女は信頼するシュウに、金を1/2ずつ二人だけで分けようと言ってきます。
しかし、コジだけは裏切れないと悩むシュウ──
警察に囲まれた今、一刻も早く金を自分の手で掴みたいケンさん。
バッグを開けると、なんと中身は新聞紙!三人は驚きます。
すると、テーブルに置かれた拳銃に弾を込めケンさんに向けるコジ。
「俺とシュウさんは、やらねぇよ」と、言われケンさんは二人にハメられたと気づきます。
コジはケンさんが金を隠したと疑い、冷静なシュウが怪しいとケンさんは必死に抵抗。
そして、【この計画を考えたのはシュウさん】次第にコジは、兄貴分であるシュウを疑い始めます。
「俺らの間に、信用なんてある訳ないやんけ!」と、怒りを滲ませるケンさん。
まさかの裏切りにショックを受けるコジは、悲壮な顔をしてシュウに銃を向けました。
コジに追い詰められるシュウは、何とか情に訴え拳銃を取り上げます。
そして、今度はコジに銃を向けクズ野郎の本性をあらわすのでした。
シュウは「金は、茉莉亜が持っていますよ」と、二人に秘密を話します。
──銀行強盗をした時、シュウが殺したのは老婆に扮した茉莉亜。
そして、シュウと茉莉亜が金を入れるために用意したのは同じバッグ2つ。
1つは金、もう1つは新聞紙──
真実を知って、パニックになるケンさんとコジ。
その様子を、上のフロアの空き店舗から茉莉亜とハマが見ていました。
込められた弾は1発…銃を突きつけられるコジは見事にかわしシュウを押さえますが、今度はケンさんが二人に銃を向けています。
じつは、ケンさんは下の居酒屋に銃を隠し持ち、シュウとコジを警戒していたのです。
予想以上の彼らの駆け引きに興奮する首謀者のハマ、そして彼の命を密かに狙うこの計画の裏の首謀者・茉莉亜。
彼女だけが企む本当の結末は、シュウがコジとケンさんを殺し、最後に茉莉亜がシュウを殺して金はすべて彼女のモノ。
まさか、そんな事になっているなんて…【ケンさんもコジも、全部知っていました】
【シュウはハマが最後に生き残ると確信し、最終兵器も用意しています】
【何も知らないのは、茉莉亜でした】
──渋柿多見子への返済期限は明日、シュウは渋柿ボディーガード軍に拉致られます。
シュウたちの強盗計画を知っていて「茉莉亜に、騙されるんじゃないよ…」と言う渋柿。
考えてみればシュウは、すべて茉莉亜の思惑通りに動いてきました。
…もしかして、ハマと茉莉亜にハメられてる?
銀行強盗を、明日に控えるシュウが知った彼女の企み。
ハマと茉莉亜の裏をかく【男三人の本当の計画】を立てるシュウ。
ケンさんとコジにすべてを話したのは、銀行強盗を起こす僅か3時間前の事です──
茉莉亜から連絡が無いと迫真の演技をつづけるシュウ、そしてコジとケンさん。
「茉莉亜は、意外と近くに居るかも知れへん…」と、挑発するようなケンさんは、シュウとコジを撃ち殺します。(演技)
ほぼ同時に、茉莉亜はハマにアイスピックで襲い掛かりますが失敗。
ハマと茉莉亜がモニターから目を離した隙に、ケンさんは警察官の格好をしています。
さらに、ハニーバニーを出る時に、しっかりとブレイカーを落とし店内は真っ暗。
銀行強盗が終わってからの【ハニーバニーで起こる秘密計画の、すべてを知っていたケンさん】を危険人物と見てキレるハマ…「ぶっ殺す!」
ケンさんが運転する(若槻が用意したフェイク)パトカーが、猛スピードで走り去ります。
【包丁で刺された演技をしたボーイの尾形が替え玉!ケンさんは免許がありません】
ハマと茉莉亜を、渋柿多見子が待ち構えていました。
もともと敵対する渋柿多見子VSハマの構図を利用し、シュウはハマを潰すつもりです。
シュウたちが死んでいない…そして、【シュウに騙された】と気づいた茉莉亜。
しかし、まだシュウたちが勝った訳ではありません・・・
ハニーバニーの上の空き店舗に残された、金を取りに戻ったシュウたち。
そこへ、ショットガンを構える若槻があらわれました。
なんと、若槻の尊敬する祖母は渋柿多見子!
渋柿も合流し、バッグの中の金を見て喜んでいます。
シュウたちは渋柿多見子の毒牙にかかり、今にも殺されそうです。
その時、このビルのどこかで爆発音、シュウたちが「5…4…3…」とカウントダウン開始。
「2…1…ゼローー!」身構える渋柿や茉莉亜、何も起きません・・・すると、カウントから少し遅れて、鳴り響く火災報知器!
おばあちゃんが煙に巻かれ若槻が取り乱す間、シュウたちはうまくビルから逃げ出します。
しかし、しつこいババア・渋柿多見子は最後までシュウたちを殺る事をあきらめません。
金が入ったバッグと茉莉亜を連れた若槻が仕留めようと追いかけますが、シュウたちの罠にかかり屋上に取り残されてしまいます。
──銀行強盗の1時間前
じつは、協力的すぎる若槻の事をコジは胡散臭いと思っていました。
渋柿多見子とのやり取りを思い出し、二人に繋がりがあるかもと怪しむシュウ。
アホなコジも今回はお手柄、シュウは渋柿多見子の上を行く作戦を考えます──
二つある金の入ったバッグ、1つは新聞紙の上に1/3だけ金を乗せたトラップ(諦めます!)
もう1つは、残り2/3を入れてトイレに隠しておく。
若槻が助言してくれた「チームワーク」で、シュウ、ケンさん、コジは金を手にしました。
「サンブンノイチ」最後ラストの結末は?
その頃、渋柿ボディーガード軍に捕まるハマは、店で火災が起きた事に気づきます。
渋柿多見子を心配する手下をやっつけ、再びシュウたちの前に・・・
屋上から向かいのビルに飛び移る元・幅跳び選手の茉莉亜。
渋柿多見子がシュウたちの前にあらわれますが、ボーイの尾形がパトカーで登場!
あきらめが悪くしつこい連中ばかりの中で、シュウたちは勝利!走り去って行きました。
その直後、猛スピードで渋柿多見子に突っ込むハマ。
金が1/3だけ入ったバッグを持ち逃げようとする茉莉亜は、ハマに捕まります・・・
ケンさんのマンションで、祝杯をあげるシュウたち。
そこへ、パトカーを処分しに出ていたボーイの尾形が、ハマと茉莉亜と共にやって来ます。
金が入った2つのバッグが揃い、ここには1億6000万円。
するとハマは、皆の夢を聞きはじめます。
「人生をやり直したい…」と言ったシュウ。
「シュウ、お前が書く筋書は相変わらずおもしれぇ」
すっかりシュウの脚本にヤラれたハマは、昔の事を思い出すかのように言います。
しかし、そんな夢はとっくに捨てたシュウ。
クソ人生を変えるために、皆が必死に得た金で真っ新な人生を送りたいと願うのでした。
そんな事を語るシュウに、最悪のハマは最もな事を言ってやります。
「お前らは、悪党だ!」
おしまい
「サンブンノイチ」見どころ
物語の中心はキャバクラ “ハニーバニー” 、三人の男が繰り広げる騙し合い。
そこに織り交ぜるのは、銀行強盗を起こすまでの2週間の回想。
時間軸を交錯させたことで真相をかき乱し、痛快な大逆転劇へと導く映画『サンブンノイチ』
軽快なテンポで進む、どんでん返しの応酬に最後まで釘付けです!
そして、藤原竜也、田中聖、小杉竜一と言った、まったく違った個性を持つ男たちが、まるでトリオ芸人のように息の合ったコント!?ではなく、演技合戦をしています。
監督・脚本は品川ヒロシ (品川庄司)、3作目の監督作品です。
ボケとツッコミが飛び交い、シュールな笑いも随所に入れてくる今作のみどころの一つは、まさに漫才のようなセリフのかけ合いではないでしょうか。
ボケ担当はコジ(田中聖)、そして真顔で真面目にコジのくだらない話に応えるシュウ(藤原竜也)。
そんな二人に、正統なツッコミを入れるケンさん(小杉竜一)は、ブラマヨそのまま。
しかし、決して侮るなかれ!しっかり役者の顔をしています。
シリアスっぽい雰囲気に違和感なく、ストンと収まる撮り方はさすがです。
多くの芸人たちも登場!しっかり芸人としての役割を果たしながら、いい芝居をします。
最恐なことを考える奴ら、破魔翔、渋柿多見子も強烈過ぎて印象的です。
窪塚洋介演じるハマショウは「破壊の “は” 悪魔の “ま” 哀川翔の “しょう” 」と言う紹介シーンがかなりオススメで、哀川翔のモノマネを披露する窪塚洋介が最高!
やっぱり、危険でブッ飛んだ役をやらせたらハマりますね。
そして、川崎のジャバ・ザ・ハットと呼ばれる池畑慎之介☆が演じる渋柿多見子。
ピンク照明でのシーンは、藤原竜也をいろいろと “もてあそんで” しまうので怯えずに楽しんでもらえれば…。
クズ人生=藤原竜也と言うイメージが付いている人も多いかもしれません。(もちろん役柄で!)
今作のシュウも『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009年)のカイジに負けない位、クソったれな人生をやり直したいと思っています。
もちろん、誰しも自由に生きる権利はありますが、シュウたちが犯した犯罪は消せません!
今作はキレイごとで終わらせず本編の最後、ハマショウが放った一言に尽きる!
ダメな事はダメです!(ハマショウの方が、あきらかに悪党ですが。)
芸が細かすぎ!?しっかり伏線を回収して、何度もたのしめる作品。
藤原竜也と窪塚洋介らしさ全開の今作、男たちの騙し合いを堪能してください!
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